アイソモカ

知の遊牧民の開発記録

読書記録 2022/08

6月から読書記録をメモアプリ(Bear)にちまちまと書いているのですが、せっかくなので直近のやつからブログ記事にしていきます。

最近は問題解決をがんばるグレースたちをめでたり、チバシティやスプロールをうろつくケイスを追いかけたりで忙しかったんだよな。現代地球日本には花火を見に行くみたいなアクティビティがあるの、今思い出したぜ。 Tweet by @xiPJ

各マーク:✅は読了、🚩は途中、📚は紙の本(それ以外は電子書籍)です。グレーのところをさわるとパネルが開きます。読み始め日順。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下』アンディ・ウィアー

🚩 『ちぐはぐな身体』鷲田清一

  • 2022/08/02~
  • 男装することと女装することの難しさが違うのはなぜ?と気になって、読んだが、むずかしみが深まった。むちゃくちゃ雑に言うけど「女性は特定の臓器を持ってる人で、男性っていうのはまあ、なんていうか、それに比べりゃ何でもない人なんだけど」みたいな印象。そういうテイでやってきたんだな、へぇ。みたいな学び。(読みが斜すぎるかもしれない)
  • センター試験の勉強してる気分になった。

『マンガでわかるLGBTQ+』パレットーク, ケイカ

  • 2022/08/03
  • 湯船に浸かりながらサラサラっと読めた。きょうだいに読ませてみようかなと思っている。
  • LGBTなんちゃら何もわからん」っていう人にオススメするのに適してるのではないだろうか。

『ニューロマンサー』ウィリアム・ギブスン

  • 2022/07/26-08/07
  • バディSF探し祭
  • 2015年に初めて読んで以来「好きな小説は?」と聞かれたら「ニューロマンサー」と答えてきた。今は… 「最近の作品ならプロジェクト・ヘイル・メアリー、古典ではニューロマンサーかな」
  • ニューロマンサー、7年ぶり2回目読了。小説に没入(ジャックイン)する感覚いいよね。かなりかなり詩的。主人公は今で言うVRハッカーで、仲間の身体改造戦士その他といっしょに、AIとやりあう話。サイバーパンクの元祖なのでサイバーパンク好きは必読。
  • https://twitter.com/xipj/status/1556128616781533185
  • サイバーパンク好きは必読だけど、名前のつけられない関係性が好きな人にも刺さるかもしれない。2回目の今回はかなりそこに注目してた。
  • サイバーパンク世界を観光するだけじゃない面白さがある気がするんだよな。意識とわ?みたいな哲学っぽいところや、AIを取り締まる倫理側面の問題提起もある。が、それよりなんといっても主人公がヤク中でクズっぽいけど凝り性って言われる何かがあって、肉体と他者への捨てきれないしがらみと情とか…そういうところが良いのかもと思う。
  • ケイスとモリイの関係、おれ結構好きなんだよな。お互い信頼しあってて特別な情を向けていて、バディと呼んでも良いのでわ?と思うけど、仕事仲間には何かが余り、恋愛には何かが足りない微妙さが。(ディクシーとケイスのジョークある会話も楽しくて、バディみならこっちのふたりのほうが強いが、あまりメインでは描かれてない)
  • と、いうことなので、サイバーパンク好きはもちろんのこと、名前のない関係性が好きな人にもおすすめです。あとは強い女が好きな人、ダメな奴に感情移入する性癖の人にも。ほかにAI倫理や意識とわ?みたいな話もちょっとあるし、あやふやについていくことさえできれば万能っぽい。7年間ピジェ君の最推しSFの座をキープしてきただけある。
  • 古典的作品なのに ベクデル・テスト にさりげなく合格してるところも、加点ポイント。女が誰のものでもないという側面があるともいえる?
  • 煙草めっちゃ吸う文化、未来にはなくなるのかな?
  • 独自の用語がめちゃくちゃたくさん出てきて大変だけど、雰囲気で読もう!ということを、まだ読んでない人には伝えておかなければ…

🚩『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン

  • 2022/08/06~
  • バディSF探し祭
  • これも地の文がポエティックだぜ
  • 人がたくさん出てきて難しすぎる。どこ生まれどこ育ちの人物紹介から始める必要あるのか?(一旦挫折)

🚩 『3STEPシリーズ 論理学』大西琢朗

哲学フォロワが言及してた。フォロワと勉強会やりながらちょっとずつ読んでる。

✅ 『カウント・ゼロ』ウィリアム・ギブスン

  • 2022/08/09~13
  • 主人公が3人いて同時並行で進んでいくので、ケイスだけを追いかければよかった『ニューロマンサー』と比べて難易度が上がるが、ニューロマンサーで世界観をインストール済みな点でアドっぽい。1周目でエンディングまで見てから2周目で詳細確認しながら読みたくなる中毒性…
  • ちょっと同窓会みもあって良かった。
  • しかし、いっぱい人が出てくるので個々の関係が濃いって感じじゃないんだなあ。ケイスとモリーみたいな二人組が出てくることを期待したらダメみたい。

✅『新しい声を聞くぼくたち』河野真太郎

  • 2022/08/10~13
  • 社会学のオタクが漫画読んだり映画観たりするとこういうところに目をつけるのね〜って面白さ
  • https://twitter.com/xipj/status/1557384774536564736
  • ポリコレに憎しみを抱いてる人たち、いるよね
  • インターステラー全然わかんねーって思ってたけど、なるほどこういう解釈ができるのか〜 見直してみようか!ってなった
  • 鬼滅の刃、古臭い男らしさじゃなくて一周回ってそこみたいな感じなんだ
  • 女性が少ない業界で男性上司が女性部下を見せびらかしたがる現象って、「助力者男性」なのかな。 https://twitter.com/xiPJ/status/1551862017975152640
  • 新自由主義、ポストフェミニズム。社会はドラスティックに変化してきたんだなあ…
  • 障害の医療モデルと社会モデル
  • 新自由主義バチバチに批判してたわりには、最後に提示してる解決策みたいなのも新自由主義から抜け出せてない感があって大丈夫?ってなったけど
  • まあでも一応ひととおりわかったってことかな?たぶん?
  • 男性学だけじゃなくて社会学のいろんな考えかたも教えてくれてありがとう!お得だなあ!

✅『マリアビートル』伊坂幸太郎

  • 2022/08/09~18
  • ワルわちゃ(ワルがわちゃわちゃしてる作品を読みたい)
  • しばらく前に読んだ『グラスホッパー』が良かったので(蝉推しです)
  • 超絶鬼畜サイコパスが出てきてしんどくなるな。コイツ早くひどいめにあってほしーって思いながら読んでた(伊坂作品はちゃんとどうにかなるので安心)。
  • マリアビートルの女装男とひげ男、結局何者だったんだろう(グラスホッパーにも出てきてた? 記憶がない)。 「男が女装してくねくねしてたらそれだけで笑えるでしょ!」ってコメディっぽく、何も考えずにふふふってなったあとで、厳しいな〜って真顔になった。すべての女装男が「自分は男じゃない」って言うわけじゃないし、すべての女装男がシリアスに捉えられたいわけじゃないだろうから、笑っていいときはいいのかもしれないけど。でもデフォで女装は笑うものだみたいなのがあるとしたら、ある種のミソジニーっぽいと思うんだよね(トランスミソジニー)(男装はそういうふうには笑われないわけで)。って思うと軽率に他人に勧めにくくてもったいないな。
  • 蜜柑と檸檬のバディ、ふたりの間だけで通じる暗号があったり、言葉を介さないでも色々伝わったりする関係が最高すぎる。表面上はお互いのオタク話にうんざりしてるふうなのに、実は受け入れてるところがわかっちゃうと、ハァ〜〜尊い。永遠に噛み合わないオタク話と冗談を言い合っていてほしい。
  • 主人公が毎回違うけど同じ登場人物が出てきたりするシリーズ物、同窓会みがあって楽しいよな。
  • 「それさっき言ってたやつ!」がたくさん発生して楽しかったな〜
  • ブラピの映画が9月公開、たのしみだなー

🚩『会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション』三木那由他

  • 2022/08/18~
  • よく言う「文脈」って一体何なの?
  • 文脈は、会話のなかでやっていく「約束事」なんだよね、として説明

🚩『〈トラブル〉としてのフェミニズム -「とり乱させない抑圧」に抗して- 』藤高和輝

  • 2022/8/19~
  • あらB.fmフェミニズム回を予定しているので
  • 社会にトラブルをひきおこす/社会にとってのトラブルメーカーになる
  • フェミニズムはパラドクス
  • 「いかにうまくトラブルを起こすか」っていうバトラーの攻めの姿勢、つよいなあ!そんな強くなれるかよ!
  • 難しくてなかなか進まない

🚩『はじめての西洋ジェンダー史 家族史からグローバル・ヒストリーまで』弓削尚子📚

  • 2022/8/xx~
  • あらB.fmフェミニズム回もふふさん
  • 第4章の身体史のところだけ読んだ…自慰行為が病気だった時代とかあるんだ、すげえな〜

『LGBTとキリスト教 20人のストーリー』平良愛香(監修)2022, 日本基督教団出版局📚

  • 2022/08/20
  • Twitter でフォロワに教えてもらった
  • キリスト教コミュニティ向けに、)キリスト教コミュニティ周辺にいる性的少数者の人たちが書いている
  • 私はキリスト教コミュニティにいたことがあるが、今は離れている。親はゴリゴリに熱心なクリスチャンだ。性的少数者なのだろうなあという感じの自分が、ゴリゴリに熱心なクリスチャンと接するとき、お互いにひどい目に合わないようにするにはどうしたらいいのか?に関するヒントが得られるかも!という期待を持って読む。
  • 「神様は人間を男と女に造られました(つまり2つのどちらかしかない)」「神様が作られた通り、働き手/助け手という役割分担をやりなさい」「男と女が結ばれなさい(男と男、女と女はダメ)」みたいな規範を、聖書を根拠に固く持っている、というイメージがあったのだが、そういう人たちだけではないのだな!!とわかった。
  • 教会で同性愛者だと知られたら囲まれて祈られる恐怖… とか、すげえ怖えわ、わかってしまう。
  • HIVの歴史が闇深…
  • アフリカでは性分化疾患を持つ人たち、同性愛者、トランスジェンダーの人たちが刑罰の対象になっているという話が、恐ろしい。
  • 信徒の敬称は「兄(きょうだい)」と「姉(しまい)」と、性別によって分かれているが、希望する敬称を使ってもらえるのだろうか? というのが本書ではあまり明確に書いてなかったが(見落としたかも?)(あるいは、教会によってはみんな「さん」呼びだったり?)、ググったら本書に登場している人のブログ記事を見つけた。
  • 洗礼式の心残り | 約束の虹ミニストリー では希望する敬称を使ってもらえたとのことだ。どっちでもない人にはどういう選択肢があるんだろうな。
  • 教会から離れている(=以前は教会に通っていたが今は通ってない)人の話がいくつか出てきた。教会に通うことだけが神の意志に沿ったものというわけではなく、通わないようになったのも神の導きなのだと… そんなこと言っていいんだ!?みたいな驚きがあった。
  • これはあまりキリスト教とは直接的には関係ないが、トランスジェンダー男性が自分の声を「アニメの少年のような声」と記述していて、そういう見方があるんだ!となった。解釈によって身体違和を緩和する方法なのかもしれない。

✅ 『宙に参る 1, 2巻』肋骨凹介

  • 2022/08/28~31
  • 宇宙の人工星で暮らしてる人々と、日常にすっかり溶け込んでるロボットたちの話
  • 主人公が夫の遺骨を地球に里帰りさせる旅に出る話、実は主人公はなんかすごいエンジニアっぽいが、道中で警察とテック系大企業に目をつけられ、どうなるんだ…!?
  • 「10億ゲット」「AI法廷」に通ずるものを感じるな〜
  • 今後も楽しみ

🚩『まず牛を球とします。』柞刈湯葉

  • 2022/08/31~
  • SF短編集、通称「牛球」。Twitterで見てKindle化を待ちわびていた。👏
  • 柞刈湯葉さんの小説は大昔に『横浜駅SF』をカクヨムで読んだことがある。面白いぞ。
  • 牛球の未来世界と文化への風刺が面白かった。ヌルイチとゼブラの相性が良くて、このふたり、長編で活躍してほしい!となった。
  • 住吉、加治、田中、善光寺……元!

リンクがついてたりついてなかったりするのは…あとでちゃんとします。